Point
遺言書とエンディングノートの違いは?
Question

エンディングノートと遺言って何が違うんですか?

当事務所の感覚では、

遺言・・・財産や相続人を調査して、法的に有効な方法で自分の財産の割り振りについて生前に指定するもの。

 

エンディングノート・・・自分の一生を振り返り、その時々の思いを書き綴りながら、どのように遺産を残すのか深く考えるためのもの。

 

となります。

遺言書に記された遺産分割割合は法的拘束力を持ちますが、エンディングノートにはそのような効果はありません。

また、遺言書は法律で書き方が決められており、その形式に合わないものは無効となります。

エンディングノートはそもそも書式が存在しないので、自由に書くことができます。

そして、自分の一生について深く考えるきっかけになり、どの財産をどの相続人に残すのか、気持ちの整理をするためにとても有用なものと思います。

まだ遺言書を書く気はないという方でも、エンディングノートを作っておけば、既に気持ちの整理がエンディングノートに記されているため、遺言書を作る際の手間を大きく省くことができます。

Question

エンディングノートは相続の時役に立つの?

遺言書と違い、エンディングノートで指定した相続割合には拘束力がありません。

しかし、相続の場では遺産分割協議という話し合いが設けられます。この遺産分割協議の場にエンディングノートがあれば、相続人同士の話し合いの大きな助けになります。

法律で決められた法定相続分で遺産分割をするより、エンディングノートに綴られた故人の思いを参考にして遺産分割協議を行ったほうが、相続人同士でわだかまりが残ることも少なく、満足度の高い相続にすることができるでしょう。

ただし、相続人の中に損をすることになる方がいる場合、訴訟に発展する場合もあります。この場合はエンディングノートよりも遺言書の方が残された者としても楽です。

Question

エンディングノートをそのまま遺言書として使えないの?

結論から言うと、難しいです。

同じものを2冊用意して、その一冊に記名押印した上で封筒に入れ、公証人と2人以上の証人の前で「自分の遺言書である」旨の宣言をすれば、秘密証書遺言として認められる余地はあります。

しかし、エンディングノートと遺言書で決定的に異なるのは、綿密な調査に基づいて書かれているかどうかです。

我々専門家が遺言書を作成するときは、相続人の特定や財産目録の作成を行い、民法の規定や遺言者の意向をすり合わせ、相続人や財産について記載漏れがないよう注意を払って作成します。

エディングノートはこの調査を行わないで作成されることが多いため、相続財産が全く割り当てられない相続人が出てきたり、所有者不明の土地が発生する原因にもなります。

専門家を介さずに作った自筆証書遺言にも同じことが言えますが、内容に不備がある遺言は争いの元になります。

エンディングノートをそのまま遺言書として使うのではなく、そのエンディングノートを専門家に提出して遺言書の作成を依頼するのが最も争いも少なく、確実な方法になるかな、と当職は思います。

エンディングノートを提出いただけると、遺言の作成はかなりスムーズに進みますので是非推奨したいところです。

エンディングノートを作ってみましょう。

  • STEP

    01

    表紙、目次を書きましょう。

    それでは、簡単なエンディングノートの作り方を説明いたします。

    書く内容がなくても通して完成させ、後から思いついた時に内容を付け足していく方法で作るのがおすすめです。

    便箋とペンを用意して、まずタイトルと目次を作りましょう。

    表紙は「エンディングノート」である旨、日付、名前を書きます。

    完成した後に実印を押すと、より本格感が出ます。

    表紙の次は、目次です。

    目次の項目は、

    ・お礼と挨拶

    ・生い立ちと思い出

    ・医療や介護について

    ・財産の記録

    ・最期についての要望

    ・プライベートなものについて

    ・連絡先リスト

    くらいの項目が書きやすいと思います。

    もちろん、書式に決まりはありませんので、自分で書いておきたいことがあったらどんどん追加して結構です。

  • STEP

    02

    内容を書いていきましょう。

    表紙と目次ができたら、まず最初の項目である

    「お礼と挨拶」を書いていきます。

    ここでは、このエンディングノートを読んだ方への感謝と、これまでお世話になった方々への感謝の気持ちを書きます。

    最初に感謝の気持を伝えるのは、このエンディングノートの内容を実現するためにとても重要なポイントです。

    挨拶を書き終えましたら、今度は自らの生い立ちを書いていきます。

    出生から現在に至るまで、どの学校に通い、何に打ち込んでいたか。どんな職場で仕事をし、誰と出会い、何を思ったのか。自伝を書くつもりで人生を振り返ってみましょう。

    最初は履歴書のようなもので大丈夫です。あとからどんどん追加していけばいいのですから。

    書き終えましたら、自分の親族関係を簡単に図に起こせるとより良いでしょう。

     

    続いて、医療や介護についての要望を書いていきます。

    近年は「尊厳死」を望む方が多くなっております。

    病気や事故で、救命の見込みがないにもかかわらず、機械を体に接続して延命するような医療を望まない方が、「助かる見込みがないなら、せめて人として死なせてほしい」という要望を事前に伝えるのが尊厳死の宣言です。

    尊厳死については特に法律に定められた事項がなく、医師が独断で行うと殺人になる可能性すらあります。

    そのため、医師にその意向をしっかりと伝えるために、事前に意思表示を行う必要があります。

    その意思表示もエンディングノートでは足りないと判断されますので、尊厳死を望むのでしたら、その宣言書を持って公証人役場に行き、公証を受ける必要があります。

    ※医師に公正証書による尊厳死の宣誓書を提出しても、その医師が尊厳死を認めない場合は延命されることがあります。現在日本の医師に尊厳死の宣誓書が公正証書によって提出された場合の許容率は90%と言われております。

     

    続いて、財産の記録を書きます。

    預金通帳や登記簿謄本、各種権利書を元にして、自分の持っている財産を書いていきます。

    預金通帳から、金融機関名、支店名、口座番号

    登記簿から、不動産の目録

    生命保険の加入証書や、借金の有無、クレジットカードの情報や車について書けるといいでしょう。

    目録ができたら、それを誰に譲りたいかを記していきましょう。理由も書けると尚良いです。

     

    続いて、最期についての要望を書きます。

    これは、葬儀の規模や、死後自分をどのように埋葬してほしいか、火葬前に棺に入れてほしいもの等を書いていきます。

    身内だけの家族葬にしたい場合や、散骨、樹木葬にしてほしい場合はここに書いておきましょう。

     

    そして、近年重要視されるようになったプライベートな物の取扱いについてです。

    パソコンやスマートフォンのデータやSNSのアカウント、集めていたコレクションについての取扱いを指定します。

    パソコン、スマートフォンのロックを解除するためのパスワードや、SNSのアカウントとパスワードを書いておけば、ご遺族がその情報を元にしてパソコンやスマホのデータにアクセスすることができます。

    もちろん、それを望まない方も多いでしょう。

    その場合は、「PC、スマホのデータは破壊してほしい」と書いて下さい。

    コレクションを趣味の友達に譲りたい場合も、ここで誰に譲りたいかを書いておくといいでしょう。

     

    最後に連絡先リストです。

    関わりがあった人も、ご遺族が知らなければ訃報も届きません。

    仲が良かったのに、お通夜にも行けない・・・こんな悲しい事にならないためにも、交流のあった人のリストを書いておきましょう。

  • STEP

    03

    封をして、家族にその存在を伝えましょう。

    最初は簡単に書いていきますが、特に自分の人生の振り返りなどは一日で書けるようなものではないと思います。

    ですので、完成するまでは自分ですぐに取り出せる場所に保管しておくのがおすすめです。

    しまい込んでしまうと、途中で作るのをやめてしまいます。

    完成したら、家族に自分のエンディングノートがある旨、どこに保管しているかを伝えましょう。

    伝えておかないと、せっかく作成したエンディングノートが誰にも見られないまま相続が終了することになってしまいます。

    全部終わってから見つかっても困るので、ちゃんと保管場所を示しておきましょう。

     

    ちなみに、表紙に実印を押して日付を記入し、封筒に入れて封をすれば「自筆証書遺言っぽいもの」になります。

    死後家庭裁判所の検認を受ければ一応遺言として機能しますが、内容の不備で無効になる可能性があり、さらに遺言書としてはあまりに長い自伝が含まれますので、あまりお勧めはしません。

Point

エンディングノートは一通り完成させましょう。

自分の生い立ちや、思い出、家族への思いを綴るのは時間がかかるものです。

どうしても、その場で内容がまとまらないときは、飛ばして次の項目に進んで下さい。

いわば、骨組みを先に作る感じですね。

どの項目にも一応内容が書いてある状態から、中身を継ぎ足していきます。

そうすると、万が一のときにも

「せっかく見つけたのに、書きかけで肝心な所が何もかいてないよ・・・」

ということが少なくなるのです。

Point

存在は必ず家族にお知らせ下さい。

エンディングノートや自筆証書遺言は、相続が終わってから発見されて大騒ぎになるケースが散見されます。

中には、こっそり遺言書を開けて中身を確認し、自分に都合の悪い遺言書だったら燃やしてしまうような悪質な方もいらっしゃいます。(この場合、私用文書等毀棄罪となり、1月以上5年以下の懲役が課される可能性がある他、その人の相続の権利はなくなり、さらに他の相続人に対して損害賠償責任が課されます)

このような事を防ぐためにも、すぐに発見できる場所、必要になったらすぐに捜索できる状態にしておく必要があるのです。

Point

法的な効果を望むのでしたら、遺言書を作成しましょう。

何度も言いますが、エンディングノート自体には法的拘束力はありません。

ですので、必ずしも遺産分割がそのエンディングノートの意向に沿って行われるとは限らず、逆に争いの原因となることすらあります。

そのようなケースを防ぎたいなら、専門家立会いの下で遺言書を作成し、公証を受けて「公正証書遺言」としてしまうのが最も確実で、安心です。

当事務所でも公正証書遺言の作成、証人を行っておりますので、お気軽にお申しつけください。

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